【夏ヶ瀬 - 文集】

- 文学へ片想いしている -

2021-01-03から1日間の記事一覧

木製の月

冬は内から(コツコツと)、周囲へ向けて鑿《のみ》を当て、木彫りの夜を、彫って広げた。 ある日うっかり刃が当たり(一瞬の乾いた音)丸盆のような木製の月、真っ二つに割ってしまった。高らかに鳴り響いたその音は、幾多の星を吹き飛ばし、灯火の多々を打…