【夏ヶ瀬 - 文集】

- 文学へ片想いしている -

2021-01-17から1日間の記事一覧

三十五秒

真夜中。キッチンに立つと、いつも着信がある。出ると、見通しのきかない無音が現れ、部屋から音が消えてしまう。じっとして、音が戻るまで数えて待つと、三十五秒ある。 三十五秒で、人は、長い物語を生きることもできる。夜は港湾。停留所で待ち合わせ、空…