【夏ヶ瀬 - 文集】

- 文学へ片想いしている -

2021-01-13から1日間の記事一覧

つきみの風

二番線のアナウンスが、列車の遅れを告げている。日暮れたあとのホームに入ってくるのは、出所の知れない夜風ばかりだ。ひと気のないホームでは、一軒の立食いの蕎麦屋がぽつん、と白い明かりを灯している。 夜風は暖簾をくぐる。入ってすぐのカウンターに、…