【夏ヶ瀬 - 文集】

- 文学へ片想いしている -

2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

解のない海

私的な好意を舳先に結び、水底の月へ向け、釣り糸を垂れている。 寄る辺ない笹の舟。解のない海に浮く。 夜の、角度の浅いところでは、おとついの天気ガイド放送が、日付変更線を跨がずに、増幅や減衰をくり返し、いつまでも、いつまでもと、夜空に残ってい…

夜の同じ町

じっと目、見開いているうちに、月光色を帯びてきた、黒目その丸みある表層へ、きみの月探査船が着陸した。 誰も彼もが、宵のうちにいた。宵の口から、何処とも隣接しない町が現れ、皆ぽつり取り残されている。伸ばした手指には、クリスマスのツリー飾りが下…